今日は福山での1学期最終講。普通の予備校ならすでに夏期講習が始まってると思うが、我が予備校は今週いっぱいまで1学期授業がある。
さて本日の授業は通常なら18時30分から開始なのだが、今日は生徒が早く来れるというので、いつもより5時間も早い13時30分から授業を開始した。
開始早々トラブルが発生した。
Fという女生徒が黒板を見にくそうにしていたので、
「F、どうした?見えにくいか?」
と訊くと、「眼鏡を忘れた」ということだったので、一番前の席に移動させた。
それで私が黒板に大きさの違う文字を書いて、どこまで見えるか確認したところ、黒板の4分の1くらいの大きさの文字じゃないと見えないことがわかった。つまり黒板に4行しか書けないことになる。Fの視力はかなり悪いということだ。
私はFに視力を訊いた。すると返ってきたこたえにビックリした。
Dです
いやいや。Dって何? 0.3とかあるだろう、と訊くとFは「それはわからん」というのだ。
なんじゃそりゃ?と思った私は、クラスのみんなに訊いた。
すると驚くことに、クラスの全員が自分の視力をABCDの4段階でしか把握していないのだ。
私の視力は0.014だと伝えると、Tが「それ先生Dだわ」という。
視力をアルファベットで示すなんて初めて聞いた。いつからこうなったのだろう?それか福山だけなのか??
さて、そのまま授業スタート。4行しか書かないというやり方で暫く授業を進めていると、Fが突然こんなことを言い出した。
F「先生、帰る!」
私「え!?どうしてん??」
F「眼鏡とってくる」
私「とってくるって・・・家近いんか?」
F「往復2時間かかる」
私「えぇ!?そらまずいやろ」
F「でもみんなに迷惑かかるから帰る」
私「迷惑って・・・ちょっと、みんな!別に大丈夫やんな??」
(そこでTという女生徒が)
T「大丈夫大丈夫。私らもいつもより先生の字が大きくて見やすいし」
私「ほら、大丈夫やって」
F「いや、でも悪いから。やっぱり帰る」
ここでFが立ち上がって荷物をまとめ出す。
するとTさんが突如立ち上がり、Fの座席のヨコへ自分の教科書ノートを持って移動しながらこう言った。
私のみせてあげるけん
するとFが大きく手を振りながら、
「いい、いい。本当に悪いけん。いいって」
と断る。
そしたら、Tがきっぱりこういった。
T「帰っちゃいけん!」
F「いい、いい。本当にいいって。悪いけん」
T「帰っちゃいけん!!」
私を含めて、教室の生徒もみんなTの迫力にあっけにとられていた。
結局FはTにノートをみせてもらうことで帰らずにそのまま授業を受け続けることになった。
なんか青春ドラマを目の前で観た感じがして、Fの優しさにとても暖かい気持ちになった。
3時間後、Fの妹が家から眼鏡を届けてくれた。
授業終了間際、みんなの前で、
「今日のTの行動は素晴らしかったぞ」
というと、Tはこういった。
「あれは、心の奥底から出た叫びでした!」
福山、いいなあ。。。。