過去のブログで何度か書いたが、深夜にやっている「歌スタ!」という番組が好きで、毎週観ている。
カラオケ(DAM?)で番組オーディションをやっていて(これが一次審査)、それに合格した素人さんが、プロのミュージシャンの目の前で歌を披露する(これを番組ではハンターと呼ぶ)。
挑戦者(歌い人)に与えられる時間は前奏入れて30秒。歌い人の歌を「もっと聴きたい!」とハンターが思えば、ボタンを押して時間が15秒ずつ延長される。見事一曲歌い終えれば、合格だ(これが二次審査)。
しかしこの番組、かなりのガチンコだ。
実際、この二次審査を通過する人はものすごく少ない。全員二次審査で落ちるなんてこの番組ではザラだ。ガチンコ度合いが伺える。
さてこの二次審査を通過すればCDデビューかというとそうではない。二次審査通過後、今度は歌い人をハントしたハンターが楽曲を書き、数ヶ月かかって歌い人とともに曲を作っていく。
そして最後にavexなどの音楽会社のプロデューサーなど偉いさんのまえでプレゼンして歌うのだ。
そこでよろしくの札が上がれば晴れてCDデビューとなる。
しかしここまで来る人はほとんどいない。
一年くらい前か?
木山裕策という大阪出身の4人の子持ちのパパが二次審査を通過した。本人は平井堅に憧れているらしく、声質も似ていてかなり上手かった。ハントしたのは多胡邦夫。Every Little Thingや浜崎あゆみなどに楽曲を提供しているミュージシャンだ。
木山裕策は39歳。学生時代にバンドをやっていたそうだ。しかしバンドで食べていくのは無理だと一度はプロを目指すも断念。その後結婚し4人の子供にも恵まれ、幸せに暮らしていた。
ところが、数年前、甲状腺に腫瘍がある事が判明。その後手術を受ける。その際、医師から「手術後に声が出なくなる危険があること」を告げられた。その際木山は「手術の後にもし声が出るんだったら、絶対もう一度歌ってみよう」と思ったんだそうだ。
手術は成功したものの、声が出づらい日々が続いた。リハビリをしなんとか歌えるまでに回復。そこで「歌スタ!」に応募したのだった。
そういう木山氏の苦節も同時に番組で流されたので、私もかなり応援していた。できたらデビューして欲しい!!と。
数ヶ月後。
楽曲が完成した。タイトルは「home」。子供への愛・親への感謝の気持ちを歌った曲だ。
いよいよ最終プレゼン。
最終プレゼンのスタジオには、木山の奥さん、4人の子供達が応援に来ていた。
木山はまっすぐに気持ちを込めて歌った。
感動した。
番組を観ながら、「よろしく札あがれ!!」と念じた。
しかし・・・・・・・
結果は「ごめんね」。
木山のデビューはならなかった。
肩を落とす木山と多胡。
それ以上に、現場に来ていた子供達の涙には胸が痛かった。
番組終了後、多胡が木山の元を訪れる。
多胡はどうしても諦めがつかず、もう一度挑戦しないかと木山に呼びかける。しかし木山は、「ごめんね札が上がった以上、番組の決まりなんで、はい・・・」と言って一度は多胡の要請を断る。しかし多胡の「是非ともこの曲を世にだしたい!」という強い気持ちに折れて、再度プレゼンリベンジを決意する。
番組史上前代未聞の出来事だった。
楽曲も本来なかった2番を新たに加え、アレンジし直した。
さらに数ヶ月後。
2度目の最終プレゼン。
素晴らしい曲に仕上がっていた。
合格!
ついに木山のデビューが決まった。
久しぶりに心揺さぶられる名曲に出会った感じだ。
そんな木山が歌うからなお一層心に響く。
是非聴いてみて下さい。
ホームページでサビだけなら聴けます。http://tearbridge.com/kiyama/index.html
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