無念

お休み三日目。雨が降る降るといわれながら、全くその気配なし。今日もカンカン照りで日焼け日和だった。


残念なことがあった。


この街に引っ越してきて6年目になるが、引っ越してきた当初からお世話になったいるお好み焼きや「じゅうじゅう」が知らない間に閉店していた。


「じゅうじゅう」は駅前にあって、夜11時まで開いている。仕事帰りによく寄った。

店には70歳を越える「肝の据わった」土器声の女将さんと、60くらいの優しいおばちゃんの2人で切り盛りされていた。


常連客の私は、よく特別メニューをサービスで出してもらっていた。スープやちょっとしたつまみなど。


常連客でいつも酒に呑まれているヨコちゃんは、いつも私を発見すると「先生!・・・ヒック・・・元気ですか・・・・ヒック・・・」と絡んできた。

社長は酒癖が悪く、いつも女将さんに「もう、店こんといて!」と怒られていた。


背筋のイイタクシー運転手のナカちゃんは、いつも楽しそうに女将さんとおしゃべりしていた。

たまに来る観光客の外国人とのコミュニケーションも楽しかった。



そんな「じゅうじゅう」に、ここ1年間くらい一度も行ってなかった。職場が変わったので、ちょうどいい時間に店の前を通らなくなったのが理由だ。

いつも、行こう行こうと思っていて、ずるずる時が流れていたのだ。


そして今日。


じゅうじゅうの前を通ると張り紙が貼られていた。


ごあいさつ

体調不良を修する事が出来ませず6月27日をもって閉店することに成りました。十年あまりみな様のお引立てを賜り心よりお礼を申し上げます。

ありがとうございました。

加齢とは さみしきものよ 蛍とぶ


張り紙をみて絶句した。


一年間店に行かなかったことを悔いた。


最後の俳句に、胸が裂けるような気がした。

しっかりと礼状を書こうと思う。