9時半過ぎに新大阪に到着。
到着後駅構内のトイレに行った。
新大阪駅は改装工事中で、トイレが狭い。
一体この工事はいつまで続くんや?
てなことを考えながらトイレに向かった(大のほうね)。
トイレルームが6つか7つくらいあるのだが、全部使用中。
普通は順番待ちで、一番手前から列を作る。
なのでルール通り手前先頭に並んだ。
ふと支線を奥に向けると、一番奥のトイレ前で、お洒落眼鏡をかけて中年サラリーマン風の人があらぬ姿で立っていた。
あらぬ姿とは、ズボンとパンツを膝まで下ろし、股間はシャツで隠し、片方の手で尻を押さえている。
こ、これはどういうことや!?
理解に苦しんだが、ここは素直に受け入れよう。
(あの人は緊急事態なのだ!)
ところが神が与えた試練なのか、こういう時ってなかなかトイレが空かない。
他人事ながら、目の前のピンチの人を心配しつつ、その格好を見ると、まことに不謹慎ながら笑いがこみ上げてくる。
(耐えろ!オレ!ついでにピンチの人も耐えろ!)
とか考えながらチラ見してると、もうその場にへたり込んで「強硬手段」に出てしまうのではないかと思えるほど、身体をくねらせている。
(や、やばいんでねぇの!?もしや目の前で凄いこと起こりやしないか!?)
その刹那、幸か不幸か、私が立っていた真横のトイレが空いた。
ピンチの人からは一番遠い距離だ。
(もし、ここでオレがこの空いたトイレに入ったなら・・・)
いや、いや。
そんなことは考えますまい。
ピンチの人と視線があった。
私は手招きした。
ピンチの人は足を引きずるようなヨチヨチ歩きの速い版でこちらへやってきた。
「やばーーーーい!」
トイレに入るときに、焦りからか壁に激突していた。
その拍子で手に持っていた荷物の一部を床に落とした。
しかし彼にはそんなことに構ってる余裕はない。
ギリギリ間に合ったことを神に祈りながら、私は彼が落としたモノを拾い上げ、ソッと扉の下から中の方へ押し込んであげた。
トイレには神様がいるんやで。