独立自尊

福澤の生き方に貫かれている精神が「独立」。

独立した個人を大切にし、権威におもねらず、日本をいかに近代化するかという精神

ということ。

当時の知識人たちがこぞって官職を求めた中で、福澤は生涯無位無官の一市民であることを貫いたというのは、まさに彼の生き様をあらわしている。

福翁自伝」には、なんども政府から誘いを受けていたことが書かれている。

政府の人間が福澤を誘うときに、福澤の功績を政府が誉めたいのだ、ということを伝えた。

その時に福澤は、

「誉めるとか誉められへんとか、一体なんのこっちゃ!?俺は当たり前のことをしてるだけや。豆腐屋は豆腐を作って、書生は書を読むっちゅうのは当たり前の仕事をしてるだけやないか!ワシを誉めるっちゅうのなら、まず隣の豆腐屋から誉めてもらわな困る!」(勝手に大阪弁に意訳)

といって断った逸話が自伝に出てくる。


彼は自身このことを「随分異端である」と書いているが、「権威に決しておもねらない」という態度をよく伝えた逸話だ。