誰も守ってくれない

連休初日。


さくくま推薦の「伝・怪人二十面相」を観ようと思い、マイカルのホームページをチェック。


すると上映は夜からしかなかったので、今日の所は他の映画に変更。


ちょうど時間的に「感染列島」と「誰も守ってくれない」が候補に挙がった。



というわけで、結局「誰も守ってくれない」を観た。

主演は佐藤浩市志田未来

監督は踊る大捜査線君塚良一


先日テレビで、この映画につながる2時間もののドラマを観たところ、なかなか面白かった。

テレビでは佐藤浩市の相棒役の俳優がかなりいい味を出していた。

(誰や?)


と思ったら、松田龍平だった。


松田優作の息子だ。


なるほどなあ。


映画では犯罪加害者の家族にスポットを当てた内容で、かなり考えさせられる内容だった。


自分が犯罪被害者の家族だったり、犯罪加害者の家族だったりしたら、一体どんな感情を抱くのだろう?


もちろんどちらも経験したくはないが。


いずれにしても複雑な感情を持つことは間違いない。


志田未来が演じたのは、そういう複雑な感情を持つことになった加害者側の家族だ。


志田未来演じる少女の兄が殺人事件を犯し容疑者として逮捕される。


それにより志田自身もマスコミやネットでのバッシングにさらされる。


佐々木蔵之介演じる新聞記者が言う。


「被害者の家族は、犯人の家族にも罪を償って欲しいと思ってる。これはねえ。連帯責任なんだよ」



この言葉に表されるように、世間の「糾弾せよ!」の大合唱から主演の佐藤浩市演じる刑事勝浦が志田未来演じる沙織を守るというのが映画の大筋。


柳葉敏郎石田ゆり子の役柄も難しかった。

2人は夫婦で、3年前に警察の捜査ミスで一人息子を失ってしまい、その捜査を担当していたのが、佐藤浩市演じる刑事勝浦。

勝浦は上司の指示で動けなかったとはいえ、3年前に子供を死なせてしまったことで深い傷を負っている。


執拗に追い回すマスコミから逃れる為に、勝浦は沙織を連れて、夫婦が経営するペンションにすがる思いでたどり着く。

柳葉演じる本庄は「(3年前のことは)刑事さんのせいじゃありません」と笑顔でいう。

その一方でこういう場面があった。

警察はうちの子は守ってくれなかったのに、犯人の家族は守るんですか!


印象に残る複雑な場面だった。



映画を通して、様々な「守れなかった」「守ってくれなかった」シーンが登場する。


その度に考えさせられるのは、一体誰に責任があるのか?ということ。


それとそれが起こった時に、それをどう受け止めればいいのか?ということだ。



映画の中では、それぞれがそれぞれの事情を受け止め葛藤しながら克服しようとする姿が映し出されていた。

人は、静かに強くなる・・・

スポットCMの最後に出てきた言葉だ。




佐藤浩市の抜群の存在感が映画全体の重いテーマを支えていた。

現在中3生の志田未来も難しい役どころを演じきっていた。



難しい映画だったが観て良かったと思う。

(映画での佐藤浩市のセリフ)

誰かを守るっていうのはその人の痛みを感じるってことなんだよ